Sad Creature

将棋、その他諸々の話をしていきます

形の変え方 振り飛車編

こんばんは。sad Creatureのワンフレーズ「神さえも殺す悲しい動物」の意味が分かって鳥肌が立っております。中の人です。

中の人って呼びづらいですね。何か呼び名をつけたいところですが、思いつかないのでぼちぼちになりますかね。

 

さて、本日は「初心者~三段の方」に向けているはずの本ブログでは有りますが、第2回にして2度目の初心者向けでない記事になります。「形の変え方」と題させていただきましたが、端的に言うと定跡形を工夫する上での考え方を纏めて見ようと思います。

中の人は振り飛車党ですが、その理由は、定跡形に沿って指す機械的な将棋が苦手、もっと言えば嫌いだからです。定跡形を変えやすい振り飛車は救世主でした。

振り飛車は工夫がしやすく、それが売りでもあります。類型の差を見極め、自分の得意形を見つけて戦うのは楽しいはずですし、自分だけの最高の振り飛車ができ上がると思いませんか。

それってとてもロマンを感じると思うんです。

𓏸𓏸流や𓏸𓏸システムと自信の得意形を名乗るアマも増えて参りましたが、特に振り飛車は個性が出るもの。誰しも得意な形があると思います。

真部流にならった6筋位取りやその類型が得意な人も、石田流に組めれば自信があるという人もいますし、何が良いかがプロでも意見が分かれるように、振り飛車は自由な戦法です。

だからと言って、居飛車は柔軟性が無いのか?と言われれば、そんなことはございません。定跡の工夫の余地はいくらでもありますし、プロ棋士達が工夫に工夫を重ね、日々定跡は進化しています(ただ、工夫の中身がコアで難しいと言うだけで)。

私は居飛車振り飛車両方勉強して来たものの、3年以上力戦党として戦ってきた過去があります。力戦や、得意形の持ち込み方には一日の長があると思いますので、私の将棋論について記事にしていきたいと思います。

形の変え方と言いましても、居飛車振り飛車では物が違いますので、分けて記事にしていきます。今回は振り飛車編です。

 

「形の変え方」と言いましたが、実の所振り飛車の序盤のパターンはそこまで多くはありません。理想形を決めておいて、その形に至る手順を工夫するというのが振り飛車を工夫する上での基本的な考え方になります。

藤井システムで言えば、端が早いとか、美濃の形を作るのが早いとか、藤井九段の将棋はいつ見ても工夫が成されていますが、誰一人として藤井九段の将棋は指せないはずです。それは彼の将棋は、いずれ必要になる手を手順を変えることで含みを持たせ、指し方の幅を広げているからです。玉移動を保留することで居玉でも穴熊を攻略出来ましたし、藤井九段の昔の棋譜には、飛車側の端歩を2つ取ることで、急戦に対して5筋を付くことを無理やり回避した棋譜があります。衝撃の構想ですが、これもまた藤井九段の工夫と言えましょう。

急戦対策において、どんな形を好むかは定跡を学べばある程度固まると思いますが、嫌な形で仕掛けられないための駒組は人が出る部分です。

最近では、へなちょこ急戦に対して8八飛と回る人と、5六歩や9八香車から受けて立つ人で別れると思いますが、これもまた好みだと思います。

持久戦に対しては、もっと人が出る部分です。直観的にも分かると思いますが、三間で言っても石田流を指すのか?真部流を指すのか?では大きく異なりますし、何を有力視しているかは人に依りますよね。

しかし、忘れないで欲しいのは、振り飛車の手だけが進む訳では無い、ということです。

相手が急戦なのか持久戦なのか分からない状態で何を指すのか?はとても難しいですし、それを工夫する楽しさと、同時に「妥協すること」が必要になるのです。

四間飛車を指しているのなら、4三銀型で6筋を付いた時にエルモ急戦(斜め棒銀想定)に来られると最悪な気分になると思います。しかし、5筋を付いてしまうと駒組の幅が狭まる。難しい手順ですよね。

私は三間党ですが、後手三間においては6筋の位をなるべく早めに取ることにしています。久保流棒銀対策と、真部流への組み換えを見ているのでこれで指せると見ているわけですが、こうすることで自分だけが経験値の多い形になるわけです。(6筋の位は傷になりやすいですから、位が活きる展開に持ち込むのが必要ですが、その時経験値が活きると考えます。かなり強い人は早い段階から6筋を奪還してきますが、人間の将棋なら結局美濃が固いので実戦的には大変と見ます。)これは私の1工夫に過ぎませんが、要するに急戦にも持久戦にも自分が戦えると感じる展開を模索し、序盤から主張を作ることが工夫の第1歩と言えます。

そもそも、振り飛車は所詮既存の形、良くてもその応用にしかなれませんが、得意形は必ずしも既存の形とは限りませんし、既存の形でないとも限りません。

そこで、工夫の探し方も話したいと思います。

個性的な振り飛車党プロ棋士や、尊敬する振り飛車党プロ棋士棋譜を並べるのは一案だと思います。

藤井九段は序盤の工夫が非常に巧みで面白いですし、彼の手の意味を考えることはとても勉強になると思います。

最近の人だと、齋藤四段や西田五段は、特に序盤戦術が上手く、得意形を極めてる印象があります。(特に齋藤先生の穴熊から7五歩(言葉にするのが少し難しい…)は、私からすると何の魅力も覚えませんし、藤井竜王名人お墨付きの「弱そうな陣形」ですが、彼だけはこの形を愛用して勝ってらっしゃいます。紛れも無い得意形ですね)

人の序盤戦術を積極的にパクって、何か学ぶのは1番分かりやすいやり方です。そこから実戦を積んで試行錯誤することで、自分だけの振り飛車が出来ると思います。

 

ということで、振り飛車の序盤戦術について話してきました。個人的な話ですと、三間の6筋位取りは現役奨励会員にも序中盤で優勢を築いたことがあるくらいですので、序盤戦術として通用する自信のある戦術です。

自分の得意形を探して、1つの形の見識を経験値を積みながら深め、そして改良する。

私の三間飛車もまだまだ完成には程遠いですが、自分だけの序盤感覚を持つ人は相手にしていてとても厄介です。

この記事を読んでらっしゃる振り飛車党の皆様も、自分だけの序盤感覚を試行錯誤して、良き振り飛車ライフを送っていただけると幸いです。

 

次回の「形の変え方」は居飛車編です。

来週は初心者向けの記事を挟むかも知れません。

居飛車党として県大会で準優勝2回(呪われているのか、優勝経験はありません…。)の実績がありますが、如何せん過去の栄光ですので…。あまり期待せずお待ちください。